コラム

仕事の知恵袋

2018年1月25日◆ ◆ 組織作りは必要機能から考える ◆ ◆

機能を細分化・専任化して・・・

■経営機能とは
 
中小企業は従業員が20人前後の規模になると、経営者は『組織図』を作りたがる。
この経営者の思いの背景は、会社内の役割を明確にしていきたいとの想いが強い。
しかし、実態は
◎役職の乱発傾向(対外的な要素もあるが、年齢的な要素が強い)
◎主任・課長・部長等の役割が不明確
◎役職の与え方・動機付けが不明で役職を与えても、喜ばない事がある
 
組織作りは、人ではなく役割、つまり「機能ありき」で考えることだ。よく経営機能、経営要素と説明されるが、経営機能とは会社の機能である各部門の構成内容、経営要素とは力の源である人・モノ・カネのバランスである。
会社の機能とは会社が保有している色々な能力である。これは商品をつくったり、売ったり、人をやる気にさせたり、物を運んだりする機能である。この能力を複数人でやるから、機能としての○○部門が出来上がる。これが経営機能である。
中小企業の基本機能は
◎全体調整機能
◎販売機能
◎生産機能
◎財務機能である。
これが基本形で、最もシンプルかつ最低限必要な機能を集めた単純な組織形態である。指揮官(社長)がいて、戦車部隊(営業機能)と武器づくり部隊(製造機能)があり、兵糧米づくり部隊(財務機能)があれば戦闘はできる。
しかし会社の規模が拡大すれば、それにともなって必要な機能を細分化・専任化させることが求められる。
例えば、営業部門で考えよう。
30人未満会社の営業部門の機能としては、
・年度営業計画の策定 ・営業部門の運営管理 ・営業実績のチェック・コントロール・評価、販売促進 ・クレーム処理体制 ・仕入が主体である。
これが規模の拡大とともに細分化され、
・営業戦略策定 ・物流戦略と管理 ・営業情報の管理と活用 ・営業組織の強化・市場調査 ・商品企画・開発 ・得意先管理 ・回収管理 ・在庫管理 ・倉庫管理などの機能が必要になる。
自社の組織機能と照らし合わせ、規模が成長にするにつれ、どの機能を細分化・専任化しなければならないかを理解してほしい。
 
■規模の拡大に伴う機能細分化
会社全体の組織においても、規模が拡大すれば、機能を細分化・専任化していかなければならない。従業員が50?100人に拡大すれば、基本機能から役員会(経営部門)、物流機能、仕入調達機能、人事機能が必要となる。
この状態で戦線が拡大すれば、各戦線での指揮官が必要になるし、戦車部隊(営業機能)が物流機能を兼任していると効率が悪くなるから、歩兵部隊(物流機能)が専任で必要になる。
そして100人以上になれば、加えて本部機能が必要になってくる。前線の戦いが拡大すると、全体調整と細部の調整機能を入れないとバラバラになる。
部隊は動くがチグハグさが目立ち、思うように効果が上がらない。そこで必要になるのが、全体調整機能の経営本部機能、拡大した戦線を調整する各部署の本部機能である。具体的には営業本部機能、生産本部機能、管理本部機能であり、必要性に応じてこれらの機能をとり入れていく。
そして200人以上を超える企業になれば、マーケティング機能、商品開発機能、情報システム機能、経営企画機能が必要になる。戦いに勝つための新兵器づくりを武器づくり部隊(製造機能)が兼任するには限界があるからだ。
やはり専任の研究チーム(商品開発機能)が必要になるし、特殊部隊(経営企画室)、偵察部隊(マーケティング機能)を設けないと、拡大した戦線で戦うのは無理である。
このように、規模の拡大につれて組織を動かすために必要な機能が増えてくる。この機能を明らかにしたうえで、各機能を束ねる役職を決めなければ、組織づくりはうまくいかない。
 
       以上
 
マイスター・コンサルタンツ株式会社
代表主席コンサルタント 小池浩二
 

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