コラム

仕事の知恵袋

2017年10月27日◆ ◆ 会社組織の原点である創業の精神 ◆ ◆

創業の精神は時を経ても常に正しく・・・・

■家訓なくとも家族はまとまるが、理念なき会社はまとまりにくい
                                         
一般的な組織(趣味の世界、学校等)の特徴は、基本的な価値観の似ている人が集まるのでまとまりやすい。しかし、中小企業という組織は例外である。育った環境が違う、年代が違う、何が好きか嫌いかという価値観の違う人達が偶然に同地域に住んで、通勤距離が短い等の物理的理由で一つの会社に集まり、組織を作る。
これが多くの中小企業。価値観の違う人達が集まって組織をつくるわけですから、放りっぱなしの状態ならば確実に崩壊する。そもそもチームとは、仕事に必要な数人が集まったから「チーム」になるわけではない。大前提として、メンバー全員がチーム一員である当事者意識を持ってうえで、チームの共通の目的、達成する目標、それに向かうためのプロセスを共有する集合体がチームであり、チームワークを強化していくには、共同で何かをする前にチームづくりを行わなければならない。
つまり、会社は『何もしなければうまく回らない事』を前提にチームづくりを行う発想が必要。
 
■創業の精神は常に正しい
 
企業の創業期には、現在のようなお客様・関係先・設備・信用のれん、そして社員は存在しない。つまり、人・物・金・実績・信用なしの『ナイナイづくし』からのスタートするのが、古今東西、創業期の共通点である。その中で、唯持ち得たのは『何とかお客様に喜ばれよう』『一途に一生懸命に頑張ろう』とする『頑張リズム』だけである。
それが、熱意・誠意となって工夫しながら、あらゆる難局を乗り越えて、現在の姿に成長発展してきた。又、バトンを受けた企業は先代から語り継がれた家訓・商訓・教えを大切に受け継いでいく。そうした創業の精神は時を経ても常に正しく、創業の精神を忘れ果てた頃から会社は方向を見失い、種々様々な経営問題が発生する。創業時の苦労・エピソードは、現在の社員は知らない事が多く、現在の会社の姿・内容を作った原点を知ることは非常に重要である。歩みを知る事は経営者の価値観・企業観・人生観を理解する事であり、企業人・職業人としての価値観の統一につながる。
 
■創業の精神の作り方
 
〇会社の歴史がわかる年表・創業時の写真・道具等を用意してもらう
〇社長又は会長に創業の精神(創業から現在までの歴史)を語ってもらい、(これが大切である)重要なキーワードを言葉としてまとめる。
 
■創業者の人生観・企業観・仕事観を伝える事例A社の創業の精神
≪奉公時代≫
学校時代私は勉強が大嫌いで、野球ばかりしていた。当時、私の母校である麹町中学校からは日比谷高校へ、そこから東大へと進学するのが一般的であったが、私は家が貧乏だったこともあって、就職することを希望した。先生にとにかく試験のないところを探していただき、『面接だけだから問屋の丁稚でどうだ』と言われたとき、私には断わる理由は何もなかった。

≪(株)○○○ 設立≫
昭和36年 武蔵小山のそばの平塚にアパートを2部屋借りてスタートした。唐草模様の風呂敷で商品を背負って歩いたのだが、「資金に余裕ができるまで現金で買ってやろう」と心強いお客様が多く、嬉しかった。色々な関係があって商売は成り立つものである。私は取引先に迷惑を掛けないこと、手形を落す苦しみはよく分かっているから現金取引しかしないことを心に決めた。商品について、縫製には自信があった。スカート1本作るにも、一つ一つ私がチェックし、他に引けを取らない良い物を作り続けた。
 
≪明日の(株)○○○≫
そして、縁あって入社される人々が我が社の豊かさを通じて、一人一人の幸福や豊かさを実現でき、家族・友人等に誇れる企業を創り上げたい。今までのことを一言で集約すると『誠意・信念・忠実』といった言葉で表現できるだろう。
 
■創業の精神の事例
 
多くの会社で経営理念づくりのお手伝いをさせてもらいましたが、各社の創業の精神をまとめると以下のキーワードが多い。

・職人気質 ・感謝 ・筋を通す ・誠意 ・挑戦 ・努力 ・頑固(妥協しない)・真心
 
難しい環境だからこそ、改めて自社の創業の精神を考える事も大切です。
 
                                               以上
 

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