コラム

仕事の知恵袋

2022年1月29日◆ ◆ 値上げの開戦前夜に向けて ◆ ◆

材料・原料等の値上げで商品の値上げ傾向が・・・

■ある会長の価格政策
私が尊敬する事業創業者で現在会長職にある方が今年の年頭に社員に示された価格に関する方針の一部をご紹介させていただきます。
 
これまでの常識では、値段は低ければ低いほど良いとされていて、一円でも安くする事が正しい企業努力のあり方だと多くの人が信じてきました。しかし、それは間違いなのです。値段を上げる方が正しい場合もあるのです。値段を上げる事こそ正しい企業努力だと考えています。
値上げによって企業全体が儲かる体質に変わります。商品やサービスの値段を上げると高収益体質に変わり、適正な利益が得られるようになります。
それによって資金繰りから解放され、仕事の絶対量が減ります。そうすると社内に余裕が生まれます。又、高い商品を売る事で、社員は自社製品に誇りを持つ事ができ、働き甲斐を感じる事ができます。
そして、ある時点から取引する客層ががらりと変わります。値段より安心や信頼で物を買いたい顧客(良質な顧客)になっていきます。さらに、価値ある情報を付加していく事で、もっと値上げをする事ができます。
 
中小企業にとって、この景気低迷・停滞市場は勝てる絶好の機会です。今こそ、あるゆる企業は商品やサービスを高く売る方法を身に付けるべき時なのです。
 
■値上げに対する守りと攻めの対策
長崎ちゃんぽんで有名なリンガーハットの事例です。                                         
赤字脱却の為に主力商品である「長崎ちゃんぽん」を450円から500円に値上げを断行し、成功した例です。
〇守りの対策                                  
・不採算店コスト削減 
・人件費・販促費等のコストダウン
・工場の内製化促進と生産性向上の取組みなどの徹底的なコストコントロール                
〇攻めの対策                    
・使用する野菜の全部を国産化
・接客の根本からの見直し                                                                                                 
ポイントの一つが国産野菜の使用です。国産野菜を使うとお客様への食の安心感、おいしさの訴求はできます。しかし、主力商品を1割以上も値上げになるので、接客の悪い店で高いおカネを払いたいというお客様はいません。
納得してもらう為には
・何故国産野菜を使用するのか
・今まで以上の価値を提供できる事への説明が必須条件となります。
そこで、力を入れたのが接客強化で店長への再トレーニングを実施してクレームに対してもどこに原因があるのかを徹底的に話し合う体制を整え、営業時間を短縮しても、ミーティングの時間を取る事もあったそうです。
客離れが起きる可能性もあったが、リンガーハットは国産野菜使用と接客向上という二つの価値によって、新たな客も獲得しました。                                                       
■価格政策は戦略
縮小しているマーケットでは、インストアシュアの奪い合いが激化している。材料・原料等の値上げで商品の値上げ傾向が強くなりますが、見方を変えればシュアを少しでも伸ばしたい企業は、あえて価格の据え置き、値下げをするケースもある。
商品の基本は価値と価格にある。
・価値が同じ場合なら、価格を下げるとその商品は売れる
・同じ商品でも顧客に納得されるように価値を上げると、値上げしても売れる
値下げをするから売れるのではなく、商品の価値を上げるから売れる事がポイントとなります。
代表的な商品価値を引き上げる方法は
●商品の説明を丁寧に分り易く説明する(うんちくを語る)
●狙うべきターゲットを最適化していく
●その商品の専門性を専門家・第三者を活用して伝える
●顧客が商品を検討する際の比較対象先を変えさせる
●プレミアム・特典等を付ける
●保証、安全性等を付ける
●商品の見せ方・渡し方に工夫を入れる
●購入方法に期限・資格等の制限を付けるetc
 
ご参考にしてください。
                               
                             以上
 
                                                 マイスター・コンサルタンツ株式会社
                 代表主席コンサルタント 小池浩二
 

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