V.10億の壁を突破出来ない企業の実例

《1.25人規模の【社長が歩くルールブック型経営】の事例A社》
(1)会社概要
@昭和45年創業の事例A社は平成8年からの3年間で年商が3.5億、5億、8億と急成長した生産財機器を受注生産しているメーカー
A経営者は創業者で典型的な技術屋社長である。この事例A社は社長絶対依存主義で社長こけたら皆こける状態であった。
B古くから社長と共に頑張ってきた主な幹部クラスは社長との一体感が強く、風土としては良い状態である。
Cしかし人を動かす方策の誰もがわかるような会社内のルール・基準がなく成長したので、以下の問題点が噴出していた。

《2.突破できずに苦しんでいた状況》        ( )数値は全国平均
・経営方針に関し、明確とする社員が23%(34%)、わからないとする社員が77%(66%)と多い
方針・計画を明確にしたいと考えても、その方法がわからなかったり、明確にしても習慣づけで躓いたりして、上手くいかないから途中で止めてしまう事も多い。この会社もこの繰り返しであった。

・社内の規律に関し、まあまあ守られているとする社員が81%(74%)と多い
・組織や命令系統は乱れているとする社員が54%(26%)と多い
・責任の所在がハッキリしないとする社員が93%(67%)と多い
・上司の指示が不適切であるとする社員が72%(60%)と多い
・計画の変更が多いとする社員が60%(35%)と多い
幹部クラスのマネージメントが混乱している様子が伺える。この規模は部門毎に「長」は立てられるが、現場の実務を指揮する監督者が不足する。この事例A社も50%の社員が不足としている。現場の実務を指揮する機能がないとどうしても現場は混乱する。

・教育訓練はしないとする社員が95%(24%)と多い
・退職者が多いとする社員が75%(19%)と多い
・監督者が不足しているとする社員が50%(16%)と多い
現場が混乱し、退職者が多くなる。足りないから、募集するが、同じ事の繰り返しで退職者が増発する。つまり、業務手順・レベル基準が無い為に仕事の標準がない。仕事の標準がないと新人を教える事が難しくなる。そして忙しいと自分で覚えろと突き放す為に悪循環になる。この会社もやはり退職者が多かった。

売上高・従業員数が伸びて、それに見合う組織体制・機能が未発達の場合は利益率、1人当りの生産性、資金の回転性がアンバランス状態となる。
この事例A社も成長前と成長後を比較すると成長性の経営数値は良くなっていたが、収益性・回転性・安全性・生産性は悪化していた。

年商5億ぐらいで従業員規模20人未満の会社はガンバリズム体質がベースの運営である。
この規模では価値判断基準を明確にし、人が動きやすい環境を創る事が必要になる。
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