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2014年3月3日 余命3ヶ月の社長の願い



元気な創業社長が突然、余命3ヶ月を宣告された。

創業10年強、機械設計・派遣業で業績を伸ばしたK社長に訪れた運命である。

K社長はこれからの事業展開として第一線をリタイアした技術職の方々の持つ、技術を多くの会社に再活用出来るようにシステムを考え、事業展開を図ろうとしていた。

シニア分野事業のモデルとして多くの新聞、TVに取り上げられ、これからという矢先の出来事であった。

この会社は社員は20名、業種柄、社長が営業・経理を担当する典型的な社長こけたら皆こける会社であった。おまけに社長が50代前半で後継者も居ない。

直ぐにK社長は幹部の4名を集めて、自分が余命3ヶ月である事を告げ、K社長の希望を伝えた。

社長の希望としては【①外部から経営者を迎える②会社を売却する③自社内部から経営者を出す】の選択肢で①であった。

K社長にすれば自分が産み落とした会社はかわいいし、何とか継続してもらいたい願望はあったが、現実的には厳しいだろうと①の選択であった。

しかし幹部は③を強く選択し、最終的にはK社長が折れる形で了承した。

そして営業も経理もした事がない幹部が経営を担当しても、最低3年間は無事継続できるようにとK社長の思いを叶える為に周りのブレーンが知恵を搾り出し、新体制を作った。

紆余曲折はあったが、新体制の下、経営計画書が出来上がり、病院に届けた翌朝にK社長は亡くなった。

K社長の願いは会社を存続継続する事でもあった。

しかしそれ以上に本当の願いは幹部・社員が1人で家族を養って生きていけるようになってもらいたい事であった。

病床で心配されるのはあの社員は何人家族でこれからお金がかかる。

大丈夫だろうか?という事ばっかりであった。

経営者がよく口にする言葉がある。それはどこの会社に行っても通用する人になってもらいたいとの想いである。

 
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