コラム

仕事の知恵袋

2018年3月1日◆ ◆ 躾づくりは三つ子の魂教育 ◆ ◆

自社のことを学ばせることから始まる・・

日本の格言に「 三つ子の魂百まで」がある。
これは人間の人格形成の基礎は幼児期にあり、純粋で吸収力が高いうちに鍛錬すれば教育効果が高いが、大人になってからの教育では自分の考えや経験で凝り固まりやすいので、効果が薄いといわれる。
多くの中小企業は三つ子の魂で教育が形成されない構造になっている。つまり、大半の会社が中途採用社員で構成される為に、自分の考えや経験で凝り固まった集団となりやすい。
会社における躾づくりとは、集団で戦う為に必要な「三つ子の魂教育」である。
 
■会社・商品を知らなければ戦う集団にはなれない
 
「躾」づくりは、まず自社のことを学ばせることから始まる。
誰もが自分のことはよく知っている。生年月日・血液型・星座・名前の由来などを社員に質問してみていただきたい。答えられない社員はいないだろう。
では「会社」となると、どうか?
創業年月日・社員数・年商・歴史・メインバンク・商品のセールスポイントなどを尋ねても、十分に答えられる社員は少ないだろう。社長が想像している以上に、社員は自社のことを知らない。嘘だと思われるなら、一度自社の会社案内やホームページのなかから、会社のプロフィールの理解度を問うテストを作成し、実施してみるとその実態がよくわかり、唖然とする事が多い。
もっとも見方を変えれば、自社の概要・自社の商品を知らずして戦いを挑もうとしているのだから、ある意味、中小企業はたくましいとも言えるが……。
名刺1枚で30分以上話ができなければ、戦闘能力はつかない、と私はよく説明する。名刺には種々さまざまな情報が記載されている。
・会社名
・役職
・氏名
・住所
・営業所
・取り扱い商品
・ロゴマークなどである。
お客様・関係先に、名刺に書かれているような自社のこと、商品のことを説明できなければ、戦えない。営業担当者だけが説明できても、業績向上にはつながりにくい。生産部隊・管理部隊も会社のことをきちんと説明できる会社は、お客様への訴求力を直接的・間接的に増加させることができるから、業績も向上しやすい。
 
■規律を守らせる
 
社員に自社のことを理解させたら、次は「規律」を守らせることである。
規律とは、仕事をやりやすくするための共通したルールと基準である。これは、会社の判断基準・行動のあり方を左右するものである。そして、そのあり方によって、その企業に「モラル」があるかないかが問われることになる。規律=ルールには2種類ある。一つはスタンダードルールであり、もう一つはローカルルールである。
スタンダードルールは、関係するすべての者が遵守しなければならないルールであり、代表的なものは法令である。ローカルルールは、関係者のうち、ある特定者が遵守しなければならないルールであり、代表的なものは社内の「決まりごと」であり、暗黙の了解事項である。
 
●規律の背景・理由を伝える
 
職場の規律は集団活動に秩序と統一性をもたらすためにある。だから具体的で、はっきりした規律・規定・基準を設定し、誰にでもわかるようにしないといけない。そして、職場の規律を社員に周知徹底させることである。
規律の存在は知っていても、なぜこのような規律をつくったのか、その背景・理由を知らないと規律は風化しやすい。社員から質問されたとき、規律が乱れ始めたときは、必ずその背景・理由から説明しなければならない。「できていないからダメ」だけでは、意味がない。
違反行動に対しては、その場で厳しく注意をすること。例えば遅刻しても何も言われなければ、遅刻してもいいのだと周りの人間が思う。
そうすると職場の規律はすぐに乱れる。その場で指摘するから、効果があるのだ。違反があったときにすぐに注意ができる会社には、規律ある職場が生まれる。もちろん、そのためには経営者・幹部も常に規律に従った態度・行動をとらなければならない。
 
ご参考にしてください。

                            以上
 
     マイスター・コンサルタンツ株式会社
     代表主席コンサルタント 小池浩二
 

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