コラム

継栄の軸足

後継の視点

私共が考える後継者とは経営を司る経営者の後継者であり、事業部、部門を動かす役員・部門長の後継者である。

■寿命

人には寿命がある。しかし、法人に寿命があってはいけない。だから、バトンを受ける役割の後継者が必要となる。

日本人の平均寿命は男が75歳、女が86歳とされているが、日本の会社の平均寿命は30年ともいわれている。

何故、人の寿命より法人の寿命が短いのか?(勿論100年以上の会社もある)それは経営者の経営者人生によるところがある。
経営者のゴールデンエイジは55歳から65歳である。30歳前後から現会社に携わり、色々な経験を踏んで、経営者人生20~30年で開花するのはこの10年である。
人生は自分が主役で幼いころから老いる迄、全て自分の事である。しかし、法人は『一人の経営者が法人を司るのは20~30年』である。

即ち、一人の人間が永続的に経営を司る事は出来ないのである。だから、後継の在り方によっては継続して繁栄出来ない事もある。

■後継の実態

ある調査機関のアンケートによると、

自分の後も何らかの形で事業を承継させたいと考えている経営者は全体の95.1%いる。そのうち、「後継者をすでに決めている企業」は44.0%、「後継者を決めていないが候補者がいる企業」は37.1%、「後継者の適当な候補者もいない企業」は18.9%となっている。

年間廃業社数約29万社のうち、約7万社は「後継者がいない」ことを理由とする廃業と推定されている。
これだけの雇用が完全に喪失された場合を仮定すると、失われた従業員の雇用は毎年約20万人から35万人以上にのぼると推定される。

継続できない事は如何に社会的に影響が大きいかである。

■後継の視点

私共が考える後継者とは経営を司る経営者の後継者であり、事業部、部門を動かす役員・部門長の後継者である。

法人にとっての重要度・難易度からすれば当然、経営者の後継者である。
しかし、会社の活性化という点からみれば、役員・部門長の後継者も重要である。

経営者の後継作りは当然の事であるが、役員・部門長の後継づくりの視点を入れていただきたい。

中小企業の人材階層は①経営者②役員③部門長④中堅社員⑤一般社員の5層である。

この5層で特に活性化していないのが役員・部門長層である。なぜなら、一旦役職に任命すると退職するまで永久欠番制の聖域になっているからである。
つまり、マンネリ状態の最たる人材層にならざるを得ないのである。
違う視点からみると、下の層の人材層が育ちにくく、会社のレベルアップにつながらないのである。

現在の環境には戦略が必要である。

戦略の展開には役員・部門長の力が必要である。しかし、戦略を進めながらの単年度の業績作りが難しい。この単年度の業績づくりに、必ず役員・部門長の後継者の力がないとこの両輪を走らせる事は出来ない。

つまり、5層構造で上からの経営者・役員・部門長には必ず、後継者が必要である。

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