コラム

継栄の軸足

身の丈経営を実行する

「身の丈経営」とは、経営者の価値観を形にすることである。

多くの中小企業は、会社の土壌が整備されていないのに成長ばかり志向するから身の丈合わずの経営になる。
「身の丈」と表現すると、後ろ向きな印象を持たれがちだが、そうではない。私が考える身の丈経営とは、我が身の丈をきちんと認識することである。
生まれ育った環境、人との出会いなどで経営者の事業観・企業観・労働観が決まる。この経営者の観点から会社の将来構想が決められる。であれば、会社の将来構想とは経営者の意志であり、魂である。
その中身は当然会社によって違うが、肝心なことは、経営者が法人という生き物に意志や魂を吹き込んでいるかどうかである。意志や魂を吹き込まないと、身の丈は縮む。
つまり「身の丈経営」とは、経営者の価値観を形にすることである。他人や他社は関係ない。自分や自社が何をしたいのかである。尺度・基準は常に自分・自社という軸だ。
この自分・自社軸がなく、身の丈経営を目指しても、会社は衰退するだけである。
身の丈経営を実現させ、会社を倒産させない条件は以下の通りである。

①私的紙幣の手形を切らない、もしくは発行比率を下げる
②貢献する商品・顧客の構成を集中させない
③経営者・特定社員に依存しすぎない
④メインバンクを持ち、常に金融機関とコミュニケーションを図る
⑤社会モラル・基準から逸脱した致命的事故を起こさない
⑥金を借りすぎない
⑦設備投資を急激にしない
⑧常に羅針盤を持ち、数値を確認する
⑨経営者として致命的な公私混同をしない

そして、最後に「経営者があきらめない」ことである。
昨今、夢を語る社長がすっかり減ってしまい、それとともに社員にも欲がなくなり、会社の成長がストップしているケースが多い。規模を拡大するなら、それに対応できるようにすればよい。小さくても利益率の高いダイヤモンド経営を目指すなら、その方法を徹底追及すればよい。そして、今より1ランク、2ランク上の経営技術を構築していく事が身の丈経営である。
経営者の皆さんは、どのような会社を創りたいかを、もう一度考えてみていただきたい。

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