コラム

継栄の軸足

プロ化の波

師匠となる経営者・役員の皆さんは自分達が携わる職業の素晴らしさ、誇り、姿勢等を伝えていますか?

■他責への逃避

『売れない大合唱』が断末魔の叫びの様に響き続いている。
アメリカのセールス研究第一人者であるGEレターマンが『販売は教える事である。』と至言を後世に残している。
現代社会は成熟社会であり、デフレ時代に入っており、この市場特性はプロ化とコンビニ化の2極分化傾向である。
物が売れない、価値あるサービスを提供できない現象は『顧客満足分岐点と営業レベル・サービスレベルの乖離』が進んでいる事に集約できる。
ホームページの普及により、お客様の成長スピードが社員の成長より早くなり、営業マンの知っている知識とお客様の知りたい情報との乖離がある。

■プロ意識とは

プロとはその事で自分の生計を立てる人であり、アマチュアとは自分の趣味・興味の世界で満足する人であるが故に根本的にはアマチュアはプロに絶対勝てない。
その代表的な職業が相撲である。大相撲に学生横綱が入ってもすぐに十両には勝てない。又、囲碁将棋、落語の世界も力の差が格段とある。
私達ビジネスの世界において、職業は何かと聞かれたら『営業マンです、サラリーマンです』と答える社員が多いことに気付く。
ここからすでにプロの原点を置き忘れている。つまり、自分の職業認識である。
美容師・料理人の世界はそうだが、自分が好きで入った世界だから、技術・知識を習得するのに若くてもすごく努力をする。しかし一般企業人は自分の職業認識が乏しく、自分が社会、お客さまから期待される事への関心・期待されなくなる時の危機感が薄い様に感じる。
大相撲・芸の世界、美容師、料理人の世界と一般企業人を比較すると色々な体現・体感度は違う。しかし、自分の職業は何かと聞かれたら、例えば日本酒を売っているセールスなら『地域の文化・祭事に彩りをつける物を売っています』と答えられるようにならないと職業認識は出ないし、プロになる意識は出にくい。

最初からプロの技術を持つ人はいないが、プロ意識だけを持つ人はいる。

■プロを育てる

プロがアマチュアに絶対的な格差を持つ職業に共通している事は、その育成方法にある。内弟子制度である。
若い頃から師匠に弟子入りし、生活そのものが稽古、勉強であり、師匠の物の見方考え方、職業においての基本・姿勢を身につけていく。内弟子制度は厳しいがそれを支えるのは何としてもこの仕事をやりたいという本人の高い目標・向上心である。
一般の企業人の内弟子制度は入社から始まるが、師匠となる経営者・役員の皆さんは自分達が携わる職業の素晴らしさ、誇り、姿勢等を伝えていますか?
会社の物の見方考え方、つまり考え方・行動の価値判断基準が伝承されていますか?
人財育成のポイントは3点。①育つ(自分がこの仕事を習得したい、この会社で頑張っていきたいとする本人の在り方)②育てる(現場の上司・メンバーの触れ合い、指導の在り方)③育む(会社の環境の在り方)である。
社内で勉強する時間がなければ月1回土曜日にE-DAY(教育デー)を設けるのひとつ。、現場でメンバーを鍛え抜く事をマネージャの人事考課項目に入れる事もひとつ。本人に継続的に宿題を出し勉強させるのも方法です。知恵を出せば色々な方法が考えられます。

プロを育てる社風がなければ、いくら本人がプロになりたいと思ってもなかなかなれません。

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