コラム

継栄の軸足

継栄の軸足

強い者が生き残るのではなく、環境に適合した者が生き残る。

■会社は潰れるように出来ている

会社の倒産件数の推移であるが、リーマンショック以降は以下のように推移している。
         
2009(H21)年  13,306
2008(H20)年  12,681

しかし、倒産件数はリーマンショック以降に多発したわけではなく、バブル好景気時期も同じように発生している。

1984(S59)年  20,841   日米貿易摩擦、東証ダウ平均1万円突破、グリコ・森永事件
1985(S60)年  18,812   G5プラザ合意、日銀円高誘導、科学万博、豊田商事事件
1986(S61)年  17,476   円高デフレ・公定歩合3%、撚糸工連事件
1987(S62)年  12,655   公定歩合2.5%、土地急騰、国鉄分割民営

勿論、倒産する要因は環境変化によって違うが、いつの時代も倒産は起こる事は事実である。

■強みが弱みに変わる時、その弱みは最大弱点になる

消費者の3大消費である食の巨頭が倒れて久しい。
食の流通を変えたダイエーの中内功氏である。業界に革命を起こし、永らく名経営者としてもてはやされた方である。
経営者人生の最後を締めくくる晩節に残念な結果であったが、夫々の強みが弱みに変わる時、その弱みが最大弱点になった結果だろう。
それは創業者のカリスマ性が強すぎる事は強みであるが、継続して栄えさせる観点からすると、ある条件を満たさないと弱みになる。
その条件とは後継者を創ることである。人間には寿命があるが、会社に寿命があってはいけない。勿論、当事者は倒産させたくて倒産させる人はいない。
会社は潰れるように出来ている事を前提に、どのように潰れない条件を整えていくのかを考えて、会社運営をやるほうが良い。

強い者が生き残るのではなく、環境に適合した者が生き残る。これは種の生存原則である。氷河期の環境変化で恐竜が生き残れなく、ミミズが生き残った事を観れば解る。企業を取り巻く環境も世界情勢・国内情勢・経済環境・業種を取り巻く環境・自社環境変化等を
敏感に察知し、それに適合出来るか否かはひとえに会社の寿命を意味する事になる。

■セオリー

永らく継続して栄えているお店・会社には共通点がある。
それは経営者の名前より、お店・会社の名前が売れている事である。勿論、創業当初は創業者の強烈な個性で切り開き、ベースが作られる。
そのベースが代々受け継がれていく中でそのお店・会社の基本の型が作られ、固められ、磨かれ、そして自社固有の戦い方が出来上がる。

では、歴史の浅い会社つまり今現在、創業者が経営をやっている会社、2代目の会社の場合は何が必要なのか?

まず、会社の戦い方の基本型を創ることである。この基本型とは会社が継続して栄える為のセオリー=原理・原則をキチンと①知り、
②解り③出来る レベルに持ってくる事である。
セオリーとは野球で例えると9回裏、スコア2対1で負けている。、0アウト、ランナー1塁ならバッターにバントをさせ、ランナーを
2塁に進塁させる事がセオリーである。勝つチームはこれが確実に出来るから、勝てる。

日産のカルロス・ゴーン氏が就任直後に出演した番組をみたが、日産は販売目標台数を100万台上乗せし、販売攻勢に出るとあった。これも経営改善のやり方からするとセオリー通りである。

①減収減益状態にあった会社をお得意のコストカッターで脱出
②そうすると減収増益状態になる。しかしこの経営状態はボクサーの減量生活を365日続けるようなもので長続きはしない。
③そのなると、どうしても食べ物が欲しくなる。これが日産の打ち出している100万台上乗せの販売目標である。
④この次は増収減益状態になり、そして最終的に増収増益に転化していく。

このプロセスは経営改善のセオリーの軌道である。

医学の病理学は多数の症例に基づき、治療のセオリーが構築され、その上に新しい発見、技術が展開される。それと同じように会社にも
病気があり、それを治す基本的な手の打ち方はある。

それが会社の戦い方の基本型であり、継栄の軸足である。
軸足を固める事で力が強く発揮できる事はスポーツの世界と同じである。

是非とも、会社が継続して栄える為のセオリー=原理・原則をキチンと①知り、②解り③出来る事にチャレンジしましょう。

コラム一覧を見る